- 歯並びの相談はいつごろ行けばよいのですか?
- 結論からいいますと、気になる生え方がある場合は、年齢に関係なく早めにご相談されることをお勧めします。
と言いますのも、矯正歯科専門医がお口の中を見る時のポイントは、
現在の状態が将来の永久歯の歯並びにどのように影響を及ぼすかということだからです。
そして、歯の生え変わりのタイミングやあごの成長まで考えに入れた上で、
治療を早くスタートしたほうがよいか、もう少し待ったほうがよいかを判断します。
それなので、「同じような歯並びの子がもう治療をしているから」とか「隣のお子さんは同じ年だけれどまだ治療をしていないから」などと、
治療の時期を簡単に判断することはあまりよくありません。
お口の様子は千差万別!
治療に最適な時期は個人個人みな違うものです。
お母さんが気づいたときに専門医に相談して、最適なスタートの時期を知っておくことが大切だと思います。
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- 子供が矯正治療を始めるとき、親としての心得は?
- 矯正治療は虫歯の治療と違って長い期間を必要とします。
その間、一番の理解者であり、協力者となれるのはお父さん、お母さんをはじめとするご家族です。
治療を開始したころは「よし、がんばって治療をするぞ!!」と思っていた意欲も、
長い通院期間のうちには「面倒くさい」と感じたり、「大変だから怠けたい」と思うときもあるかもしれません。
そんなときに、「面倒だったら装置を使わなくていいよ」などと、ご家族が安易に言ったらどうでしょう?
子供はがんばる気をなくしてしまいますね。
矯正歯科専門医は、治療を開始するときに歯並びの状態だけではなく、
お子さんのキャラクターも含めて綿密な治療計画を立てます。
それなので通常、お子さんが無理をしなくては治らないほど難しい治療を行うことはありません。
ですから、矯正治療の期間中、お子さんの治療への意欲をうまく引き出してあげるように工夫していってあげることが大切だと思います。
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- なるべく歯を抜かないで治療をしたいのですが?
- 今流行の「小顔」。
「大顔」よりはずっと聞こえがよいのですが、顔が小さいということは、あごも小さいということになりますね。
ところが、現代人は栄養状態が良いため、顔は小顔でも、生えてくる歯の大きさは大きくなっていく傾向にあります。
「小さなあごに大きな歯」が収まるわけがありませんから、歯がでこぼこになったり、飛び出したりすることになります。
よく言うたとえですが「6人がけのベンチに、体の大きなお相撲さんが6人座ろうとしている」ことになります。
では、この大きな歯をあごに収めてあげるにはどうしたらよいでしょうか。当然、歯の数を減らす(歯を抜く)か、
あごの大きさを大きく(広げる)することが考えられます。
だれだって(専門医のわたしだって)できれば歯を抜いて治療をしたいとは考えていませんから、
歯を抜かずに治療を行うことが可能ならば、抜かずに治療を行いますし、実際そういった症例もたくさん経験しています。
しかし、ここで重要なのは、症例によってあごの大きさを大きくできる場合と大きくしてはいけない場合があるということです。
無理にあごの大きさを大きくすると口の周りの筋肉の力で元に戻されてしまい、
将来きれいに整った歯並びが安定しないことがあるのです。
せっかく長い時間をかけて治療を行うのですから、
治療後にずっと良い状態でいてほしいですし、そうでなくては困りますよね。
そのためにも、良い治療のための判断基準が「抜くか抜かないか」ではなくて、「将来安定した歯並びを得るためには、
どの治療法を選択することがベストか」ということをしっかりと見極めることが一番大切だと思っています。
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- 矯正装置をつけてスポーツはできますか?
- たいていのスポーツは大丈夫です。陸上のカール・ルイス選手がソウルオリンピックで矯正装置をつけて走って、金メダルを取ったのは有名な話です。
また、最近ではワールドカップ代表のブラジルのサッカー選手が、やはり矯正装置をつけて試合に出場していました。
一般的なスポーツで矯正歯科治療が支障になることはほとんどないと思います。
ただし、格闘技など顔面を強打する恐れがあるスポーツについては、矯正装置が破損したり、
それによってお口を切ってしまう恐れもあるのでお勧めできません。
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- 矯正装置をつけて虫歯になったりしませんか?
- 装置がつくと歯ブラシが少し難しくなりますが、磨き方を丁寧に指導したり、練習を行ったりしますから、
きちんと歯磨きを行っていれば装置をつけたとたんに虫歯になってしまうということはまずないでしょう。
ただし、歯が動いていくと歯の重なりの裏などに以前から隠れていた虫歯が発見されることがあります。
そういったときにはホームデンテイスト(かかりつけ歯科医)と連携して適切な時期に治療をしてもらいます。
装置がついているいないにかかわらず、歯を磨かなければ誰だって虫歯になってしまいます。
それなので、矯正治療をきっかけにして、ていねいな歯磨き習慣がついてくれるとうれしいですね。
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- 大人の矯正治療は何歳までできますか?
- 実は矯正治療には年齢制限はありません。
矯正治療は、歯を取り巻く細胞を変化させて歯を動かすので、生命活動があるうちならば可能だということになります。
しかし、現実には年齢を経るほど、以前虫歯になったために歯を失っていたり、歯の根の状態が悪かったり、
また、加齢による歯周病の進行によってあごの骨の状態が悪かったりするために、
矯正治療で移動できる歯に制限が出てくることは事実です。
しかし、このような場合でも、一本から数本だけを動かして治す部分治療であれば、
かなり制限のあるお口の状態でも可能ですし、
また、かみ合わせの障害となっているような歯を部分的に治療することで、残りの歯を長持ちさせることもあります。
歯は一生使うものですから、こういった矯正治療の利点をうまく利用しながら、
生活の質の向上のために、良く噛める歯を獲得していただきたいと思っています。
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- 成人とこどもの矯正治療に何か違いはありますか?
- 「歯を動かす」ということに大きな差はないのですが、成長を利用した治療が行えなかったり、
歯周病や喪失歯などによって歯の移動に制限があったりするので、治療法の選択に若干の影響があります。
しかし、成人は、本人の意思で治療を開始するので、治療中よく理解して協力してもらえるので、
治療がスムーズであるという利点もあります。矯正治療は、患者さんと矯正歯科医の協力があってこそ成功するものですから、
そういった点では、成人の治療は進めて行きやすいともいえます。
いずれにせよ、正しい診断を立てて治療法を選択すれば、問題なく良い結果を得られると思います。
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- 矯正装置の見た目が気になるのですが?
- 社会人の方の場合、矯正装置の見た目は一番気になる点だと思いますが、
最近は装置が発達していますので、以前よりも装置がずっと小さくなっている上に、
歯の色に近い装置もたくさんあって、それほど目立ずに治療を行うことができると思います。
さらに、最近は矯正治療に対する社会の見方が変化していますので、
一部の職業(顔の印象を特に気にするような職業)を除けば、矯正装置が問題になることはほぼ無くなってきていると思います。
実際、テレビのアナウンサーの方やタレントさん、雑誌のモデルさんなども、装置をつけたまま仕事をされている方が多くいらっしゃいます。
また、日本人の仕事の場が国際化するにつれて、自己管理も国際的であることが要求される場面も増えており、
特に外資系の企業などでは、矯正治療をすることは「目的意識がある」「自己管理ができる」といった良い評価につながることが多いようです。
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- 治療中の痛みは大人のほうが大きいのでしょうか?
- 痛みの感覚は、大人と子供に差はないと思いますが、痛みの強さの感じ方には年齢を問わず個人差があるので、
人によっては治療中まったく痛みを感じない方もいますし、痛み止めを服用する方もあるでしょう。
しかし、一般的に矯正治療で歯が動くときの痛みは虫歯の痛みような「ズキンズキン」というものではなくて、
「強くかみ締められない」「噛んだときに響くかんじがする」ということが多いですし、
その期間も針金を調節してから1~3日間でおさまるのが普通です。
また、現在では形状記憶合金の針金を使って、ごく弱い力を加えながら治療を行うことができるようになったので、
そういった治療中の違和感もかなり軽減していると思います。
矯正治療は1ヶ月に1回程度の通院になりますから、違和感があるのは月に1回1~3日ということになりますね。
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- 成人になってから歯を矯正する人はどのくらいいますか?
- アメリカでは1970年代以降、矯正治療をする成人の患者さんが大幅に増え、
1990年代には矯正治療をする患者さんの40~50パーセントが成人という状況になってきています。
そして、同じような傾向が日本でも見られており、現在は30~40パーセントの患者さんが成人の方なのです。
この背景には、歯科知識の向上による「健康や美への関心の高まり」もさることながら、企業の国際化、
海外旅行やホームステイの経験などを通して「歯並びや口元に対する日本人の意識の遅れに気づいたこと」が大きな理由になっていると思います。
また、装置の審美性の向上によって治療を受け入れやすくなったことも大きな要因であると思います。
いずれにせよ、「よく噛める歯がもたらす生活の質の向上」は年齢を問わず大切なことですから、
大人も積極的に矯正治療を行ってほしいと思います。
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